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2012年8月15日 (水)

まじめなウォッチ・ドッグ(番犬) ー選挙キャンペーンと政党の政策

『コッリエレ・デッラ・セーラ』紙(Corriere della sera)
2012年8月9日

秋には長い選挙キャンペーンが始まるだろう。もちろん、どの政党も重要なことは何か自覚している。イタリア国民に目を向けるだけでなく、ヨーロッパの世論と国債市場にも訴えなければならないのだ。ドイツ、オランダ、フィンランドなどの国家が、要望を直接伝えてくるというわけではないが、これらの国の評価は、EUの決定に多大な影響を与えている。また、国境を越えて活躍する投資家は、イタリア国債を売買することによって「投票」に参加する。彼らの影響も絶大である。

イタリアのあらゆる問題は結局のところ、デフォルトを回避できるのか、それとも外国に救済を求めて国家主権への屈辱的な制限を受け入れなければならないのか、という選択に収斂する。たとえばフランチェスコ・ジャヴァッツイは、イタリアが懸命に努力するなら、まだ「自分たちだけで何とかできる」(『コッリエレ・デラ・セーラ』2012年8月4日)と主張している。来るべき選挙戦におけるそれぞれの政党の選挙政策は、この二者択一の問題にどう関わっていくかによって評価されることになるだろう。

ユーロ圏内の経済的強国の世論や市場の関心は、イタリア政府の統治能力と責任感である。統治能力は変更される選挙制度次第である。それ故、どのようなシステムに変更されても、選挙後すぐに首相と内閣を決定できるような安定的な与党を作り出せるような選挙制度に改革すべきである。

新しい内閣の仕事は、政党が提案する政策にかなりの程度左右されるだろう。イタリアでは選挙マニフェストは冗長だがごく一般的な内容で、政党連合を形成してそれを保つことくらいにしか役立っていない。一方イタリア以外の国では、マニフェストは専門的に細かいところまで議論されて作られ政府のプラットフォームとしての機能を果たしているうえ、「ウォッチ・ドッグ(番犬)」の役割を果たす独立組織も存在する。最も顕著な例として、オランダにはオランダ経済政策分析局(CPB:Netherlands Bureau for Economic Policy Analysis)があり、各政党の選挙政策をふるいにかけて調査し、現状からどう変わるのか評価する。例えば、ある政党の政策が実現される場合、国家財政、家計、企業の利益、環境などにどのような影響を与えるかなどを調査・分析するのだ。CPBの評価は選挙の2ヶ月前に公表される。一旦公表されればどの政党も口から出まかせを言えず、選挙の争いは、専門家の分析によって整理された選挙政策と各政党の政策の違いに集中するのだ。

政治政策を入念に仕上たりそれをチェックしたりする能力は、一朝一夕で身に付くものではない。数ヶ月後に控えたイタリアの次期選挙でいきなりオランダやドイツのような論争スタイルと質の高さに到達できるものではない。また外国から注目されることに慣れているとはいえ、今回は特にそれが厳しくなるだろう。上辺だけの議論で喧嘩早く、序論も結論もない単なる言葉のやり取りという、イタリアの論争スタイルは、今回は高くつく恐れがある。

これに対処するのは、何よりも、そして当然のことながら、政党自身の仕事である。特に欧州の経済危機に対応するために形成された現与党の役割でもある。専門家内閣という特徴を持つ現政府の役割も重要で、例えば政策の重要なテーマについて専門家の見地から実現可能な解決策を文書によって提示することもできる。

こうした政策プログラム(マニフェスト)は、結局は来春にEUに提出することになるであろうイタリア改革プログラムの準備作業を前倒してして行うに過ぎない。それ故、各政党には具体的なテーマについて実現可能な解決策で対応することが求められている。

さらにいうと、共通通貨ユーロの消滅やイタリアのユーロ脱退の可能性について言及し、その場合どれほどの損害が生じるかを数値を元に説明することも有益になると思われる。次期選挙では反EUを公に主張する政治グループがイタリアで初めて出てくるだろう。それらのグループには、提案内容を公にしそれがもたらす結果を証拠立てることが求められるだろう。

また敢えて言うまでもないことだが、各政党の提案がどれほど真剣かチェックする「ウォッチ・ドッグ(番犬)」の役割は、分野毎に枝分かれして市民や有権者が努めることもできる。選挙の結果、実際に恩恵受けたり犠牲を被ったりするのは有権者であるのだ。そして今回は特に、有権者の評価に外国の視線は注がれているのだ。

マウリツィオ・フェッラーラ(Maurizio Ferrera)
(原文)
CAMPAGNA ELETTORALE E PROGRAMMI
I cani da guardia della serietà

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