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2011年4月18日 (月)

太平洋戦争、西亜作戦と独伊

月刊日本4月号の西村眞吾「東京大空襲の日に想う」という記事を書いている。

日本が真珠湾攻撃をする直前の1941年11月15日、大本営政府連絡会議で大東亜戦争の基本的戦略が定められた。これは、第一弾作戦である南方作戦、第二作戦の対支那作戦・西亜作戦、そして第三作戦の対米作戦の三段階で作戦を進めるというものであった。

南方作戦でアジアにおける米英オランダの拠点を壊滅させた後、西亜作戦でインド洋を制圧することで、連合国の輸送大動脈を遮蔽してイギリスを追い詰めることができる。インド洋を抑えれば蒋介石の戦争遂行能力は枯渇し和平がなり、同時にイギリスからの物資が届かないインドの独立が成功すれば、米国はアジアにおける戦争の大義を失うと考えられていたのだ。

さらにこの西亜作戦はドイツのロンメル元帥指揮下のアフリカ戦線の帰趨にも関わってくる。苦境に陥っているイタリア軍を助けるためにトリポリに上陸したロンメル率いる独軍戦車隊は、英軍拠点のアレクサンドリアを目指して東へと突き進み、1942年6月21日にはトブルクを占領する。ところが戦車や物資の補給を受けた英軍はエル・アラメインでロンメル軍団を辛くも抑え、11月3日には撃退されてしまう。

当時、イタリア海軍のおかげで地中海を完全に支配できなかったイギリスの戦車の補給路はインド洋だった。ここで、日本の独伊との連携が重要になってくる。というのも、1942年前半には日本帝国海軍はインド洋をほぼ手中に収めており、ロンメルもエジプト目前まで迫っていた。インド・エジプトという二大植民地を奪われれば、イギリスは降伏を余儀なくされていたと思われるのだ。

だが西亜作戦成功目前で、連合艦隊司令長官山本五十六は艦隊をインド洋からミッドウェーへと転換させてしまう。その理由は、1942年4月18日に決行されたドーリットル中佐に率いられた東京初空襲である。当時、西太平洋の制海権を失っていた米軍は、日本本土空爆で形勢を逆転したかったのだが、日本近海に近づくことすらできない。そこで、空母から出撃させ日本上空を横切って、中国の蒋介石氏支配下の地域へと着陸する計画を立てた。この「特攻隊」のような空襲に神経を逆なでされた山本は、米艦隊の空母軍を壊滅すべくミッドウェーへと突き進み、太平洋戦争の転換点となったミッドウェー海戦を引き起こすことになる。

以上は、この記事の枝葉の部分ではあるが、日独伊の連携を考える上で面白い視点だと思ったので、引用した。

実際、山本がミッドウェーに艦隊を向けたのは4月16日付大本営海軍部指示によるものであり、4月18日のドーリットル空襲が原因ではない。また、エルアラメインの独伊軍敗北は、独伊軍の戦線は伸びきっていて補給はすでに限界に達していたこと、参戦が決まった米軍からレンドリース法により英軍は補給を受けられたこと、ロンメルの不在中に奇襲を受けたことなどの理由による。

また日本が南方作戦をとらずに北へと向かっていたら、スターリングラードまで有利に進めていたドイツ軍と日本軍の両面作戦を余儀なくされたソ連は壊滅していたかもしれず、イギリスの植民地を奪うよりもはるかに効果があったのかもしれない。とはいえインド洋・地中海での日独伊三国の連携は、地政学的にあまり関係のなかった三国同盟の意義を考える上での、一つの面白い視点だとも言えよう。

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コメント

”一つの面白い視点”では無く、本当の事です。
正確には、英米を駆逐するなど到底考えられない天皇家の意志を正確に読み取った海軍が、わざと負け続け、そして、二度と英米に逆らえない国家の形成を目論んだのです。
何故、明治維新後、日英同盟ができたか?
それは、英国の最大の目的である、ロシアを牽制し、中国への進出を達成する為です。日清日露までは「はい、はい」と言う事を聞いていた日本ですが、満州事変あたりから狂いだしたのです。

投稿: 佐藤敬一 | 2016年1月22日 (金) 12時18分

キツい言い方をすれば、
国家の存続より天皇家の存続を優先した、
ということになるのでしょう。

穿った言い方をすれば
日本がたとえ勝っても、何かしらの秘密が暴露されて
天皇家の存続が危うくなると天皇側が思い込んでしまった。
この場合も国家より天皇家優先であることには
変わりがないですね。

三島由紀夫が見抜いたのは
このことなのでしょうか。

投稿: ☆☆☆ | 2020年5月24日 (日) 21時17分

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