イルミナティ、フリーメーソンとリソルジメント運動について
ダン・ブラウン原作の『天使と悪魔』では秘密結社イルミナティが大きな役割を果たす。この映画の舞台はローマだが、イタリア王国建国期にも、イルミナティを始めとした秘密結社が活躍していた。
”リソルジメント”と称されるイタリア統一・独立運動は18世紀の後半に始まり、1861年のイタリア王国成立で一区切りするが(一方、この運動は”成就しなかった革命”としてファシスト政権期まで続いていたという見方もある)、最初期のリソルジメント運動に影響を与えたのはアメリカ独立戦争とフランス革命であった。
その二つの革命の原動力の一つは啓蒙主義(イタリア語でイルミニスティと言う)であり、イタリアでも啓蒙主義に基づく民主主義の思想が広まった。それと同時期にイタリアで広まったのが、アダム・ヴァウスハウプトが組織したバイエルンのイルミニティであり、1786年にはナポリにイルミナティのロッジが創られる。
その後、ナポレオンによる侵攻と撤退、再占領で大混乱をきたしたイタリアに、短命ながらイタリア独立運動の先鞭であり、後の共和国のモデルとなる二つの共和国が作られる。1798‐99年のナポリ共和国とローマ共和国である。ここで、イルミナティやイタリア・ジャコバン派が活躍することになる。
その後ナポレオン失脚と王政復興を経て、ヨーロッパ中で革命の嵐が吹き荒れた1848年、教皇が逃亡したローマで再び共和国が結成される。この第二次ローマ共和国で重要な役割を果たしたのがフリーメーソンであり、イタリアでは、18世紀後半、イルミナティのロッジが作られたのと同時期に、ナポリやローマ、トリノなどでフリーメーソンのロッジが多数出現する。
フリーメーソンというと何やら怪しげな響きがするが、18、19世紀のイタリアでは一種の政党のように理解されていた。実際、マッツィーニが組織した、イタリアではじめての政党「青年イタリア」も、秘密結社的で入会の誓いが必要であり当初はフリーメーソンのように見られていた。当時は、自由主義・共和主義者=フリーメーソンという図式が成り立っていたのである。ただし、最もフリーメーソンの思想を体現しているさえ言えるこのマッツィーニは、不思議なことにフリーメーソンには加入していない。イタリア統一運動の立役者カヴールも、赤シャツ隊を率いてシチリアに上陸したガリバルディもフリーメーソンの一員であった。
フリーメーソンの思想は、共和国を目指しキリスト教の神を唯一の神と認めないといったものだが、当然のことながらカトリック教会からは目の敵にされていた。それ故、カトリック教会は長い間、フリーメーソンによって作られたイタリア王国の存在自体を認めず、両者の反目が解けるのは1929年、ムッソリーニがフリーメーソンを弾圧して政界から一層した直後であった。
このように、イルミナティもフリーメーソンも、もともとカトリック教会の敵であった。フリーメーソンは第二次世界大戦後、キリスト教民主党およびカトリック教会の中にも入り込みPS事件のような陰謀事件が起こるのだが、イルミナティもその残滓は現在にも残っていると思われる。
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